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皆殺し文学はやめだ

by mouthes

ナルニア国物語

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ものすごい面白かった。
今更すぎる。
劇場に観にいけばよかった。
3作とも全部観にいけばよかった。

C.S.ルイスの宗教観が強く反映されているこの物語、
原作は2度ほど読むのに挫けた。
だってなんかちょっとほんの少し、

説教くさいんだもん。

全然ドラマチックじゃないっていうか、話のテンポがあんまりオシャレじゃないっていうか、
そんな風に思って何となく苦手意識があったけど、
映画面白かったー。

あとファンタジー超大作はハリーポッターで懲りたっていうか、
秘密の部屋まで見たけどあんまりおもしろくないんでびっくりしたので、
もうあんまり期待しない方がいいのかなと思っていた。

みたいな言い訳は全然必要ないんだけど!

第1章は良くも悪くも前フリで、映像の力とナルニアのルール説明的な部分が多かったけど、
第2章と第3章で描かれる人間の葛藤と成長はファンタジーの本領発揮でしたね!!

ファンタジーが無用の長物だなんてとんでもないよ。
空想の中で知る痛みや苦しみや恐れが、現実の人間を成長させていくんだよ。
知識として知らないものは体験してもわからないことが多いからなあ。

最近聞いたミヒャエル・エンデの言葉でとても印象に残っている。

「メールヒェンのイメージ言語というのは全く直接的な言語であり、そもそもイメージのレベルで直接理解されるものなわけですが、研究者たちときたら、なんらかの概念に転換しない限り、それが理解出来ないなどと考えているのです。」

そうだよねえ、イメージの理解は感覚の理解と同じようにされるもんだよねえ。
何かの比喩や暗喩であるばかりじゃないよねえ。
はてしない物語のファルコンや憂いの沼は何かに置きかえられるものではないよねえ。
何かに似ていることはあっても。

第3章のルーシーのエピソードはすごく身に染みたなあ。

「私がいなくなっちゃったの」
「君がそれを望んだからだ」
「スーザンになってみたかっただけなの」
「君と共に大きなものが失われてしまう」

「君であることから逃げてはいけない。
 君の兄と姉はナルニアを知らなかった。
 君が私を見つけたのだから」




しかしユースチスみたいなやつを、物語の中ですら許せないあたしは成長していないなあ。
アンパンマンのカバオくんも嫌いだったし。
こういう人間を愛おしい、かわいいと思えてこその大人だよなあ。
はあ、ため息が出るね。
これもファンタジーの力ですよ。
by mouthes | 2013-03-30 15:09 | Movies&Books