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皆殺し文学はやめだ

by mouthes

ああ あなたが好きですと 言えぬままに 二度とは会えぬ






友だちが、死んだ。
お見舞いに行こうと思っていた日の前日だった。

帰省とかぶってしまって葬儀に参列できない私を、旦那さんが納棺にお声掛けしてくださった。
こんな日にも遅刻ギリギリに駆け込んだ私を、責めるでもなく、「大丈夫、大丈夫」と。
泣かなかった。
入院期間が長かったということもある。
一緒にいた時間が短かったということもある。
納棺の準備が行われている間、巡らせることのできる思い出は少なく、
でも思いを巡らせる以外にできることもなかった。
過ごした時間はとても短かったけど、彼女が私を好きでいてくれたことを、私は知っている。
だからここに座っているのだ、ということに迷いはなかった。

死に化粧で、口紅の色を決めるのに時間がかかった。
なるべく生きているときに近い色を、旦那さんと、もう一人のお友達と、3人で相談した。
塗っては拭いを何度か繰り返し、ああ、この色だ、うん、と言い合った。
とても肌が白い人だったことを、その時に思い出した。

彼女のことを、大切に思っている人たちで、
彼女のことを送ることができて、本当に良かったと思う。
彼女は、もう老いることはできないけれど、最期まで愛されていた。
宗教違いだったけど、自分の神様に祈った。
ここにいる全員が、彼女と彼女の周囲の人々の心が安らぎの中にあるように祈ってる。
ひと時でも悲しみや恐ろしさの無い場所で、心地よくあるように祈ってる。
そういう時には、教義や解釈は些末な問題だ。

何かが決定的に変わったような気がしてしまうけど、
何も変わってないようにも思う。
生きているときと同じように、これからも関係は変化し続ける。
どのようにでも、続いていく。
by mouthes | 2013-03-24 01:59 | footmarks