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皆殺し文学はやめだ

by mouthes

ヒーローショー

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ヒーローショー観た。



長かった。
最近映画観て一番最初に思うこと、「長い」な気がする。
ロードムービーやゴッドファーザーみたいな古典が嫌いなわけではないけど、
訓練が足りなくて、長さに耐えられない。
もっと小ネタでもいいからたくさん笑いたい。たくさん感じたい。
タメが長すぎると気分が盛り上がる前に疲れちゃうよう。
まああたしが勝手に「パッチギ!観たいなあ」って思いながら観ちゃうからいけないんだけど。



井筒監督のキャラクター作りは毎度のことながら完璧だった。
全員完璧に魅力的だった。
「ゲロッパ!」も「パッチギ!」もすごかったけど、今回もすごかった。
ほんとにいいよなあ、こういう人間の見方。
愛があるよなあー
そう、愛があるよね、やっぱり。
人が人を愛して、心が満たされるってどういうことか、ちゃんと答えが出てるし、きっちり描かれてる。
それはもう、至宝ともいうべき!



こういう映画観て、「だ~れの~せいでも~ないさ~♪」とか思わないよね。
自分のいる世界が最低だとしたら、自分のせいなんだよね。
下らなくて救いようないんだよね、実際の人間は。
頭も悪いしさ、欲も業も深くてさ、一部の例外を除いては美しく生きるってことはすごく慎ましくて惨めだよね。
慎ましくて惨めじゃなければ醜いとすら思うほど。
この映画に出てくる慎ましく惨めな人々は、それが故に美しい。
そして慎ましく惨めな暮らしすら営むことができない、行きどまりの人々がこの映画の主人公。
悲しみも空しいし、暴力も胸を打たないし、ユーモアも空振りする、息苦しい世界の主人公たち、ジャルジャル。




後藤さんがすげーかっこよかったなー。
役者かと思うくらい。
福徳さんは結構何やってても福徳さんだから、福徳さんだなーと思ったよ。
強烈なアンチの人も多いけど、あたしは結構好きだよジャルジャル。
「かき」のコントとか、「幼なじみ」のコントとか。
大声出すだけのコントとか、おなら一点張りのコントとか、ばかばかしくて好きだなー。
ネタ量産型だし。
真面目なのよね、ジャルジャル。
バッファロー吾郎みたいな天才型じゃないから、同性から好かれないのもわかるよ。





別に絶賛はしないけど、良い映画だった。
始まりから終わりまで救いようのなさがついて回る映画だった。
でも、あたしが一番救いようがないと思った映画は「脳内ニューヨーク」なので、
それよりは絶望的じゃなかった。
だって、この人たちの絶望は、やることやった末の絶望だもん。
他人に対して何もできない、何も働きかけない絶望ほど怖いものはないよ。
そして「果てしない物語」の虚無のように、今その絶望は世界を食い潰してる。
あたしが怖いのはいつもそれ。
by mouthes | 2011-05-21 23:25 | Movies&Books