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ケンタとジュンとカヨちゃんの国

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昨日、映研のみんなで観に行った。
久しぶりにストーリーものの映画を最後までちゃんと観た気がする。
DVDとかだと、最近は疲れて寝ちゃって、もしくは気が散って寝ちゃって、全然観ることができなくなってしまって。

なかなか良い映画だった。
センスもあるし、バランス感覚も良いし、台詞もそつがない、確かに良い映画だったと思う。
また役者も良い。
高良健吾演じるジュンの薄っぺらさ、安藤サクラ演じるカヨちゃんの盲目さ、柄本佑演じるヨウスケの堅実さ、(大好きな)新井浩文演じる裕也の暴力性、
見応えのある役と役者で、かなり良かった。ドキドキワクワクした。

初めて見たけど、宮崎将もすっごく良かった!
宮崎あおいの実の兄なんだってね。
あの胡乱な眼と張り詰めた雰囲気は、良かったなー。
ちょっと尾崎豊みたいな感じするんだ。尾崎豊は好きじゃないけど。


うん、だけど松田翔太だけが、「お前、違うよな?」って印象を拭えなかった。

ケンタって、ほとんど後先を考えないで、他人にあんまり興味がなくて、だけど純粋なところを捨てきれないっていうのが魅力なんだと思うんだけど、
松田翔太がやることによってひとつもしっくりこなかった。
だって松田翔太、ちゃんと後先考えてそうだし、バカを内包する「純粋」には見えないし、
何よりいかにも「演技」って感じで、ハイライトの暴れるシーンだって本当にやりたくてやっているようには見えなかったんだよなあ…。
映画全編を通して、全然無茶をしてるようには見えなかった。
私が新進気鋭の若手俳優でこの映画を見たら、「俺のほうが絶対にうまくやれるのに!!」と地団太を踏むに違いない。

意地の悪いこともあけすけに書くならば、
血筋がいいっていうのは諸刃の剣で、今回は完全に裏目に出てたと思う。

ルーキーズとかクローズとか、ポップカルチャーとしてのヤンキー信仰が高まってきた昨今、
荒くれた部分をガッと出そうとする役者が増えてきて、嬉しい限りなんですが、
反面、もうその、荒くれきれない育ちの良さが滲み出てしまって、それを見てしまって、
自分を見ているような気持ちになって苦虫を噛み潰すことが増えました。
今回も正にそれで、結構、落胆を隠しきれないっす。

松田優作の、勝新太郎の、三船敏郎の、
「漢気」を感じさせてくれる役者っていうのはもはやそれだけで財産で、
重宝がられて氾濫し、見応えがなくなっていく負のループ。
それでも松田龍平の雰囲気はみんな好きだしね。あの二面的な哀愁。
役者になるんなら育ちなんか悪いほうがいいんだろうな。
役者だけじゃなくて、歌手でも、画家でも、陶芸家でも。



ケンタは、小栗旬の顔が売れてなかったら、小栗旬ではまったと思うし、
ジュンが高良健吾じゃなかったら、上地雄輔でも高岡蒼介でも良かったけど、この二人は高良健吾と顔が似てるからなー。
もう少し若かったら、松山ケンイチでもオダギリジョーでも浅野忠信でも山本耕史でも窪塚洋介でも、やれる人は結構いると思うのに、
なんで松田翔太だったんだろう。これだけだよなー。

でも松田翔太じゃなかったらここまでこの映画について考えなかったかも。
緊張感のある割にあっさりした映画だったんだ。

「告白」って小説がくそつまらなくて、
その時も思ったんだけど、

出てくる登場人物のすべてがさ、他人に興味がなくて、自分の欲求に振り回されて、結果自己完結して死んで行くんだよ。









そんなわけないじゃん、実際?









実際の生活では、否が応でも人と関わんなきゃいけないし、いけすかねえ奴になんかのはずみで救われちゃったりするじゃん。
つまんない話ながら、幸せかもなって思ったり、行く先が変わることってたくさんあるでしょ。
そんであたしは、そういうことを自覚することが、「大人になる」ってことなんだと最近思うんだ。
そういうことを自覚することが、「大人になる」ことであって、「生きてることを喜ぶ」ってことなんだと思うんだよなー。

ほんとに下らないことで、口笛程度の些細なことでさ、じっとりとした気持ちが浮き上がることがあるからさ。
生きてるうちはそれでいいし、あたしの目的はもうただ一つだし。




喜びを誇張したり、勧善懲悪も嘘だけど、その作用も人の本質だし、

人間を描くときに、そういう部分を排除することこそが、嘘だよ。

生身の人間は、いつだって嘘のしこりを持ってるんだから。



ただもう、宮崎将と柄本佑はすごーく良かった。ピリピリして、また観たくなった!
以上!
by mouthes | 2010-06-16 11:59 | Movies&Books