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皆殺し文学はやめだ

by mouthes

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この日のサニーデイ・サービスは、とても美しかった。
瑞々しく、若く、しかし柔らかく豊穣だった。
それはロックバンドを長く続けた者だけが持つ豊かさだ。
詩の中の瑞々しい恋心と、年月に育てられた深い3人の関係が、
相対照を成すように、歩んできた道のりを示すように、強く光っていた。
この大げさな言い方がとまらないよ!!!
本当に美しかったんだよ。



1. babyblue
2. 恋におちたら
3. 花さくころ
4. あじさい
5. 雨の土曜日
6. スロウライダー
7. 虹の午後に
8. おせんべい
9. アビーロードごっこ
10 .恋人の部屋
11. 夜のメロディ
12. シルバースター
13. NOW!
14. 星を見たかい?
15. 24時のブルース
16. ふたつのハート
17. 成長するってこと
18. 胸いっぱい
19. 夢見るようなくちびるに
20. 青春狂走曲
21. いつもだれかに
22. 白い恋人
23. 旅の手帖
24. 若者たち

アンコール1. ここで逢いましょう

アンコール2. 東京/コーヒーと恋愛



「虹の午後に」のあとに「おせんべい」を弾いてくれたことの感激はきっと、
サニーデイ全盛のファンではないわたしみたいなものこそあるのだろう。

わたしにとってサニーデイは過ぎし日の青春ではないし、懐かしいバンドではないのだ。
新しく出たアルバムがいつだって最高の「今のバンド」なのだ。
しかも、中高時代ずっと聴いていたことは変わらない。
『東京』を聴きながら乗り換えを間違えた電車に乗って片瀬江の島まで行ったこともあった。
そのあとなんとか気を持ちなおして学校に行った時もまだ聴いてた。
ゆううつな気持ちで聴いた「JET」を、いつかの未来と夢想しながら聴いた「旅の手帖」を、
はっきりと覚えている。
そして今、同じ3人の、真新しい曲が、同じくらい素晴らしいんだから、これほどの感激はない。


「おせんべい」という曲のよさは、
サニーデイの夢の中を歩き続ける様な叙情的なよさとはまったくちがう。
この曲は恋をしている中でもはっきりと目が覚めていて、
「おせんべいを買って行こう ぼくらがまだかじれるうちに」というひとつのフレーズで、
いずれくる「老い」と「別れ」と向き合っている。
それでも私たちが感じるのは今の「恋の瑞々しさ」、「七月のはじまり」の方なのだ。
もう最高ですよ。
こんな風にね、恋愛を肯定してくれる歌が、他にありますか!
オザケンの「流星ビバップ」の他にありますか!


「24時のブルース」は星が輝いていました。
舞台の上で夜がきらめいていました。
この曲の中で実は、「One Day」のように、全ての人が触れている魔法が語られていて、
それはこの日のライブそのもののようでした。


しかも「成長するってこと」のあとに吹っ切れた「胸いっぱい」のイントロが、もう、泣きそうですよ。
本当にこう、ね!
終わりを祝福する歌の強さというか、生まれ育っていくことの肯定というか、
出来上がった物語のなかに収まりきれない感情がにじんでいくくるおしさというか!!


「いつもだれかに」の青々しく固いギターが素敵だったなー。
むかし何かのインタビューかそかべさんの日記に、
「「いつもだれかに」を弾く時はいつもどこか緊張して失敗する」というようなことが書いてあって、
今回は失敗しなかったんだけどやっぱりどの曲よりも力が入っていて、
それがまた・・・!
デビューアルバム1曲目につまっているぎこちなさ、ひたむきさ、頑固さ、青さ。
しかししっかりとそのあと花ひらいていく予感に満ちたひねたユーモアが香っていて、
たまらん・・・!


本当にね、ベストアルバムのようなライブだったんですよ。
それはあの会場がそうさせたんですよ。
舞台と客席の距離があってこそ、あの舞台の上は作品のようになっていたんです。
それは完成度を追い求めるような意固地なあり方ではなくて、
目の前に人間そのものをさしだすような切実なあり方で、
ライブ自体が美しい祈りだったのですよ。
だから何か失敗があっても観客はそれを受け入れるしね、
失敗からすら何かを得るのですよ。
人と人との関係はいつだってそのようですよ。
それが芸術でしょ?ね、ホドロフスキー。


あんなに美しいライブはきっと2度とない。
いや、何度でもある。
美しい朝と夜が何度でも訪れるように!


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by mouthes | 2015-03-28 17:14 | footmarks