皆殺し文学はやめだ

by mouthes

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すべて噛み合うその瞬間

詰め込みすぎて焦り始めたのでクールダウン。
やれるときはやってしまおう。
「明日なんて、こないのかもしれないのだから」


「ありふれた奇跡」が好きすぎる。
ノベライズしてほしい。
なんで山田太一さんのことばって、あんなにも生真面目なのにやわらかいんだろう。
丁寧なのにかたくるしくないのだろう。
不自然なのに感情が伝わるのだろう。
今まで知っていたけれど言葉にしたことのない気持ちが、太一さんのドラマでは言葉になっている。
どうしてあんなことができるのだろう、と思うと、魔法のようだ。

去年の10月川崎で行われた講演会に行ったとき、
いちばん好きなエッセイ集「路上のボールペン」にサインをもらった。
太一さんの細く角張った字で書いてもらった私の名前、何度も何度も見た。

「生きている意味が全て噛み合うその瞬間を味わいたいのなら、丁寧に生きろ」、とは「少女ファイト」1巻。
父に旅行の時この話をしたら、
「自分にとっては労働運動をしていた時がそれだった。長男も生まれたばかりで、職場も活気があって。
 仕事の後にする作戦会議が何よりも楽しみだった」
というようなことを話してくれた。
行く前から予感していたけど、
あの旅行は、この先の人生においていろんな面で財産になっていくんだろうなあ。



私にできることは少ない。
持てるものも限られている。
欲しいものは際限がなく、いつも時間と感情が追い付かない。

腕っぷしもない、頭も悪い、そういう人間にもできることがある。
私は意地を張る。
精一杯、意地を張って、いじけない。
帰ってきたドラえもんでのび太くんがしたのは、そういうことだ。
意地張んなきゃ、おしまいだ。
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by mouthes | 2013-04-23 22:54 | footmarks

i 罠 B wiθ U





話し合い。
刺激。
その後の弱音。
クリムトの画集。


クリムトの画集。
読み進む小説。
久しぶりの夜道を自転車で駆ける。
大声で歌う。


懐かしいドラマ。
思い出したようにする後悔。
誰かを好きになってみたい。
お腹が痛い。
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by mouthes | 2013-04-22 01:58 | footmarks
決して岡村ちゃんの影響ではありません。
決して。

でも完成したら岡村ちゃんに見てほしいなー
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by mouthes | 2013-04-19 13:48 | moments!
「対音楽」に詰め込まれているのは中村一義のファンタジーそのものだ。
それが中村一義の現実だからだと思う。
「きみてらす」の「あなたを照らすために僕は産まれた。」という言葉が、それをよく表しているなあ、と思った。
それはネイティブ・アメリカンが自分たちが沈んでいく太陽を讃える儀式で太陽を動かしていると考えることと似ている。
自分と世界との関係性を、そうやって規定するんだ。
そのファンタジーに感情移入できるかどうかということがこの音楽に自分を開いていけるかどうかということに関わっていくなあと思った。
この人のファンタジーに触れて心が軽くなる。
そのファンタジーを信じることで世界がきらめく。



心に「詩」のない人というのが、実はたくさんいるらしい。
「詩」っていうのは、素朴でも激しくても、簡単でも小難しくても、別にかまわないのだが、
「わかってもらえないもどかしい気持ち」や、
「自分から抜け出て心が開かれていく瞬間」や、
「他者(世界)に触れたいと切実に願う心」のような、
そのような「詩」が一切ない人がたくさんいるらしい。

良い悪いというのでなく、すごく不思議だ。
性徴を経れば得るものだと思っていたのに、そうではないらしい。

論理的合理的で、情熱を持ち、人を思いやる心があっても、
「詩」や「情緒」というものが全くない人がいるらしい。

不思議としか言いようがない。

男とか女とかそういうことじゃないんだろうな。

松尾スズキは自分のお姉さんのことを「無駄の必要ない人」として説明していたけど、
そういうことかもしれない。
そして自分自身を「無駄がないとダメな人」としていたけど、
そういうことかもしれない。

無駄だから存在しないことにできればいいけど、
どうしても存在して強い求心力を持っているんだから拘らざるを得ない。
私が何かを見るとき、必ず働きかけてくる力なのだから、
存在しないことにはできない。

うーん

ねえー

これからどうしていくんだろう。
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by mouthes | 2013-04-14 02:49 | footmarks

とりとめのない希望を

「ああ、運が悪い」という思いが唐突に押し寄せるときがある。
本当に運が悪いのかどうかはさておき。
自業自得であったり、事故であったり、天災であったり、つまり理由なんてどうでもいい。

どちらかと言えば普通の日だ。
姪に入園祝いも渡した。
授業が少ないからと思い荷物を軽くして学校へ向かったら、思いがけず欲しかったマンガが手に入った。

何となく誰かと話をしたい気分だったけど遊びに行くお金もなかったことや、
会いたい人が捕まらなかったこと、
帰り道で自転車がパンクしたことなども含めて、

存外に普通の日だ。

こんな普通の日になんで悲しい気持ちになったりするんだろう。
なんで惨めさがこみあげてきたりするんだろう。


昨日見た映画のせいであることも否めない。

「恋の渦」という映画で、岡村靖幸のトークショー目当てで朝の9時過ぎから10時半の発売開始を待った。
私の前には30人くらい人がいた。

映画は面白かったし、かなり笑ったんだけど、
「クズたちの桐島、部活やめるってよ」って感じだった。
ただ桐島を全世代的なエンターテイメントに仕上げていた幼さゆえの清涼感や、
「高校生」という期間限定であること(いずれ必ず環境が変化するということ)の希望が、
一切なかった。
閉塞感そのものがよく似ていて、これが時代性ってやつっすかね・・・と思った。
見れば見るほど自分の中の下衆さを刺激されるクズあるあるのオンパレード。
3分の2が終わったくらいから、この話に救いがあるはずがないと思い始めてからは、
「早く終わんないかな」と思いながら観ていた。
キツいよ。
だってクズなんだもん。
どうして「クズな自分が嫌いじゃない」男の人って多いんだろう。



上映後のトークショーでの岡村靖幸がとりあえずとびきりカッコよくて、
オフショットやテレビでよく見かけるあの黒いウインドブレーカーで登場してオーラもバリバリだった。


「ふつう登場する倫理や、こうあるべきっていう良心が一切登場せず、すごく閉塞感があって、それが心地よかった。
 あと「こう見てくださいね」っていう音楽もほとんどなくて、それも閉塞感に繋がっていたと思う。
 まるで覗き部屋を見ているような感覚だった」
「あとこういう映画を観てると「神の視点」みたいなものがバスンと入ってくるものだけど、それも一向に入ってこなくて、
 狙っているのであれば面白いな、ありきたりではないな、と思った」


大根監督は「まあ褒めて頂いたほとんどの部分は脚本の功績ですね」と原作・脚本の三浦さんのことを褒めていて、
この劇団ポツドール主宰の三浦さんという方は、本も読まない・映画も見ない・バラエティとSPA!大好きで、
「文化的なものに一切触れていない」と本人も仰っていて、
「女の子とラーメンとバラエティにしか興味がない」「才能しかない、人間としてはしょーもない」と絶賛と酷評の嵐。
それにしてもよく脚本書こうと思ったなあ。

劇団の客入れ・客だしSEに岡村靖幸の「セックス」、
原作の舞台ではエンディングに「だいすき」を使うほどの岡村ちゃんのファンらしく、
岡村ちゃんの隣に座るのもすこし緊張しているようだった。


この映画の直前に受けた授業で、
「サルトルが「飢えた子どもの前で哲学はどうあるべきか」という問いを立てた。
 サルトルはそれに「飢えた子どもの前で、哲学は面白くあるべきだ」と答えた。
 飢えた子どもがサルトルの本を手に取って、「なにこれ面白い!」と夢中になれることが哲学の実益だし、
 哲学が机上の、現実と何のかかわりもないものであってはいけないというのがサルトルの考えだった」
という話を聞いたんだけど、

クズの前では哲学はどうあるべきなの?
言葉は通じるけど、好奇心も向上心もない、欲が強くて頭の弱いそういう人間の前でも哲学は面白くあることができるの?
届いてないよサルトル先生!
日本ではすごい勢いで「救いようのないクズ」アートが増えてるよ!

プロレタリア文学の系譜だろうけど、
正直それが一番キツいっす。
ああいうディスコミュニケーションを延々見せられるのがキツい。
「恋の渦」「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「ラビット・ホール」「アバウト・シュミット」、
リアルリアルって人間の弱さと孤独をこれ見よがしにさ、本性だなんだってさ、
くだらないよ。
いじけてんじゃねえよ。

知ってるよ、人間が惰性と欲望だけで生きている時間があるってことくらい。
そしてそれだけじゃないことも知っている。
誰にも正義はないし都合のいい救いの御手なんて現れないんでしょう?
わかったからそういうのこれ見よがしにすんのやめようよかっこわるいよー。
あんたが見たことないからって「希望」や「救い」がこの世にないってことにはならないの!

美化しなくたって美しいことはこの世にあるし、
美しさがあるからこそ救いがたいことだってある。
救われることがあるから、救われない絶望がより深くなるようにさ。

それでも、救いがたくても、あたしが抵抗しなくていい理由にはならないんだよ。
あたしの言い訳も逃避も正当化されないんだよ。
「クズでいい」ってことにはならない。
そう思えば思うほど、惨めさが増す。
できない。美しくない。つまらない。そういう自分が押し寄せてきて、膝をつきそうになる。


そんなことを考えていたらまた泣いていた。
中村一義の歌が優しくてたまらなかった。
ちゃんと生きたものに、で、ちゃんと死んだものに、ありがとう、ってなんで僕は思うんだろう。
なぜこの人の歌はこんなにも開いているんだろう。
大きくて優しいんだろう。
喜びと祈りがみじめな気持ちをなでていく。
すごい歌を作るなあ。


中村一義が、BSのドキュメンタリーである時期に自分を守るためにファンタジーの世界に没入していたと言っていた。
現実がヘビーすぎて、あの陸橋に銀河鉄道がやってくることを心から願っていたと。
そのころにつくられた歌たちの繊細さや、もろさ、ひねくれた若さ、照れ隠しのユーモアや優しさ、
そういうものが、成長と共に失われていくのは当たり前だ。
それと同時に洗練されていく、真っ直ぐに通った芯が、いつも私を泣かせる。
開いていくために外に出たのだから、中村くんの部屋がどんどん大きくなっていくことは当たり前だ。
この人の歌は、いま、世界に開かれている。
目の前の人のために、この歌に触れるであろう誰かのために、世界のために、
自分を救ってくれた音楽のために、
今の中村一義がある。

解釈したり、変化を否んだり、自分の好みを押し付けたりできるところにこの人の音楽はないと思う。
ぶつかり続けて負け続けていなければわからない切実なみじめさが、
この人の歌で安らぎを得る。
生きることを肯定する、讃美歌みたいな歌だ。

こうしてまた、とりとめのない希望をつなぐんだ。
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by mouthes | 2013-04-13 02:02 | footmarks

最強のふたり

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このDVDジャケットの写真が、映画を観る前から「いいなあ」と思っていたけど、
観た後に見るとなおさらいい。

悲しい場面じゃなくて、笑顔になる場面でこそ涙が出る、たまらない映画だった。

必要な時に必要な人が現れる。それに気付くか気付けないかはわからないけれど。
フィリップは自分に必要な人間が解っていたし、
ドリスはいつだって求めているものが明確だから、
ふたりはかけがえのないパートナーになれたんだよね。
強い気持ちを持っている人同士の間では、
「相性」なんて都合のいい言葉ではなくて、
関係がそうならざるを得ない、不可抗力みたいなものが働くんだ。

踊るドリスの足元にカメラがふられて、
周りの人々が踊りだすのを見ながらフィリップは大笑いする。
楽しい気持ちも、うらやましい気持ちも、恋に対する昂揚と負い目も、
何もかも否定されるようなことじゃないんだよ。
白人と黒人、富豪と貧乏人、障碍者と健常者、老人と若者、
そういう差別やふたりの違いが、なくなるわけではなくて、
重要な問題ではなくなる、それよりも大事なものがはっきりとあらわれる。
それは丁寧なやり方でしか表現することはできないと私は思っているんだけど、
ドリスのキャラクターやそれを心地よく思うフィリップの受け答えで、
息苦しく思わせず、リズムに乗っている。
こういうのをエンターテイメントと言わずしてなんという!

ワクワクさせられたり、ドキドキさせられたり、笑わされたり、胸が締め付けられたり、
しみじみするんじゃなく、何気ないシーンに溢れる多幸感で笑いながら泣ける。
これはたまらないです。

この監督は人ったらしですよ!
最初から最後まで心を振り回されて、こんなに気持ちいいなんて、
とんでもないですよ!
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by mouthes | 2013-04-06 17:42 | Movies&Books
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久しぶりにウディ・アレンの映画観た。
評判にたがわずロマンチックでギャグも好きだった。
それにしても美人が本当に美人だなあ。
古谷実もそうだけど冗談のうまい人ってほんと、美人の美しいところを探すのが上手だよ。
マリオン・コティヤールの顔の造形もそうだけど表情ね!
うつくしかったー。


それにしてもギル!
ギルがイネズとパニック発作になりながらも結婚しようとする理由がよくわかる。
学生時代は高根の花だったような女の人がハリウッドの職業脚本家として成功したら相手してくれるんだもん、
ね、ちょっと話が合わないくらいなにさ、結婚した方が自分のために良いんだって気がしてくるよ。
うまくいかないに決まってる。
高嶺の花の定義間違ってるもん。
もともと欲しいものではなかったんだよ。
顔が美しいだけの人間なんてさ。
冗談も通じないしジュエリーの趣味もあわないような人は、別れてよかった。
自分に見栄を張るなんて一番みっともないよ。
一緒にいて楽しい人と一緒にいることがいちばんだもの。
自分が何をしているとき一番楽しいか、それくらいわかってる。


新しい生活を始めるのにふさわしい映画でした。
自分に見栄を張らずに、生きることを心にとめて。
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by mouthes | 2013-04-03 01:26 | Movies&Books