「ほっ」と。キャンペーン

皆殺し文学はやめだ

by mouthes

カテゴリ:words( 20 )

強い色

君が喫茶店で、何を頼もうか迷う
手のしぐさが好きだった
目を伏せるから
眉を寄せるから
唇を触るから
低い吐息を漏らすから

いつも一瞬
そう一瞬
決めたときに君の眼は強い色を宿すだろ

決めることは怖い

奪われる心配がないから
全てを与えるつもりで
君が奪ったものをすべて
施しに回そうよ
それが君のものじゃないって
みんな知ってるよ

いつも一瞬
そう一瞬
すべて手放したときに君の眼は強い色を宿すだろ

決めることは怖い
覚悟が足りないから
見る前に飛びたいから
でも見なくても飛べるよ

夜が明ける前に窓越しで見た赤
日が沈む前の閃光のような赤
ふと顔をあげたときにだけ見える赤
あの色だけを知ってる
あの色だけを知ってる
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by mouthes | 2014-04-13 21:13 | words

白い道を通った
白い家の前を通った
歩幅は、合わない
追い抜いたり、抜かれたり

君の、なにか考えるときの癖に
最近、気づいた
指先がせわしなく
唇の周り、行ったり来たり

哀しみが、和らぐような朝日
喜びを、ささやくような宵闇

僕らは、似たような話を
場所を変えて
時間を越えて

心が、そこにあると
確かめて、別れる
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by mouthes | 2013-06-08 10:45 | words

美しい形

美しい形や、きれいな感情を、積み重ねて、体にする。
新しいものや、こわれやすい気持ちを、喜びを通して、体にする。

誰かに届くかな。
心を大事に思ってること。

ちゃんと伝えたい。
想いは形にして。
伝えたいだけだけれど、目的を持つなら、それは喜びのために。

あたし下らないことが好きだな。
欲を肯定すれば、欲からは自由になれるよ。
だから欲を知ることは大事なんだ。

踊ろう踊ろう。
昨日まで沈み込んでいたもの、外に出していたこと、
踊るためにあるよ、静かなもの。
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by mouthes | 2013-01-25 02:11 | words

03. 卒業

窓から差し込む四角い光が、ときどき黒い影にさえぎられる。
時折訪れる揺れは、聞いたところによると人をいちばん和ませるリズムだという。
僕は今日、この制服を着て学校へ向かう最後の電車に乗っている。
ほとんど人数のいない電車のなか、変わらない一面田んぼの景色。
まだまだ強めの暖房が、眠気に拍車をかける。
2両しかないこの電車の、僕のいない車両で、女の子たちがくすくすとおしゃべりをしている。
僕はマフラーに顔をうずめ、少し深く息を吸い込んだ。
止めてみる。
目を閉じて、あいつの顔を思い出す。

「私、卒業の日に、ここを出るわ」

僕の方など一切見ずに、横に並んだ彼女はつぶやいた。

「あなたと会えなくなること、寂しいけれど、耐えられないほどではないの」

あまり表情のない横顔が好きだった。見慣れた横顔が、意味を変えていく。

「だから、終わりにしましょう」

勝手なことを言いやがって。
僕に何の言葉が残されてるっていうんだ。
涙すら、追いすがる肩すら、切なくなれる余裕すら、残してはくれなかった。
「終わりにしましょう」なんて、同意を得るためだけに尋ねるような口ぶりで、突き付けただけじゃないか。
何しろ腹が立つのは、それを受け入れてしまった自分だ。
物わかりのよさそうな顔でうなずきやがって。
何も聞かずに彼女と別れて、別れた場所から少し歩いたところにある長い階段に、
座ったまま何時間も動けずにいた。
彼女との付き合いは、いつもそんな風だった。
彼女はいつもしたいことをして、僕は自分が何をしたいのかすらわからない。
そして立ち尽くす。
閉じていた目を開ける。
なあ、あの時僕が尋ねていたら答えたかい。
君にとって僕がなんだったのか。
その時ポケットにしまってある携帯が震えた。
彼女からの電話が鳴っている。
跳ね上がる心拍数と、震える手。直る姿勢。慌てている分の帳尻を合わすように、なるべくゆっくりした動作で電話に出る。

「もしもし」
「もしもし。・・・突然ごめんね」
「いや、いいけど」
「私、早い電車に乗ったから、もう空港に来てるの。卒業式には出ないんだ」
「うん」
「ここにはもう、帰ってこないつもり。最後に話したい相手はいないかって考えたら」
「うん」
「あなただった」
「うん」
「うなずいてばっかりだね」

聞きなれた苦い笑い声。
僕は、あれやこれやと語る彼女の夢のような話を、いつまでも聞いていた。
ここを出て、都会に暮らして、一人で生計を立てて、なりたかった自分を手に入れるんだ、と。
そんな風にはいかないよ、と思いながら、そうなったらいいね、と相槌を打って。
君が描いてる夢に僕はいるのかな、と思いながら。
彼女の話を、ずっと聞いていたかった。僕は何も言わなかった。

「この土地は嫌い。大っ嫌いだったけど」
「うん」
「あなたのことは好きだった」

僕も、と言いかけてやめた。
いや、声が出なかった。
彼女の言葉が、思い出を語っていたから。
失ってしまったものを、懐かしむような言葉だったから。
僕にとって彼女は、何だったんだろう。

「僕は」
「うん」
「今でも君が好きだよ」

行かないでくれ。一緒にいてくれ。僕がついていくから、連れて行ってくれ。今から会いに行くから、待ってくれよ。
そんな感情が渦になって、口から出そうになるのを、何かが必至で抑え込んでいる。
彼女の横顔ばかりが頭の中に蘇る。

「ありがとう」
「ねえ」
「でも、もう行かなくちゃ。最後に声が聞けてよかった。元気でね」

突然電話は切れた。
世界が一瞬で元に戻った。
電車はもうすぐ学校の最寄り駅に着く。
女の子たちは相変わらずささやくような声で笑っている。
僕は卒業式に出るだろう。
そこにいない人のことを想って泣くであろう自分を、先に笑っておいた。
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by mouthes | 2012-11-26 07:01 | words

01. 告白

ころころと、転がしたさいころがどこまでも転がっていくように、
「僕」が転がり続けている。
どの目が出るかはわからないが、決めあぐねているというよりは、ただただ身を任せて転がっている。
ころころと。
自分でもどうしてあの人のことが好きなのか、わからない。
美しいと思ったわけじゃない。
あの少し重たそうな奥二重の目や、細い首、少し丸い掌とか、
彼女の外見を、美しいと思ったわけじゃないのに、ただ惹かれてしまった。
彼女は髪が長かった。
あの少し痛んだ彼女の長い髪が、僕の胸を締め付けている気がしてならない。
美しいと思ったわけじゃない。
だけどあの長い髪ばかり思い出す。
僕はこんなにもあの人が好きだ。
「僕」が転がり続けている。
転がるほどに、賽の目は削れていって、たとえ止まったとしても、もう何が書いてあるかはわからないだろう。
僕は思う。
転がっているときだけが僕なのだ。
あの人のことを考えて、転がっているときだけ「僕」は実体でいられるのだ。
止まることは結果だ。
僕がしたいのは告白じゃない。
受け入れてもらうことなんて、きっと目的じゃない。
僕は、あの人のことが好きで、触りたくて、抱きたくて、目を見て好きだと言いたくて、
でもそのすべてをしたとしても、
全く満たされないだろう。
すればするほど、彼女が違う人間だということがわかる。
何も伝わらないという事だけが嫌というほど伝わる。
打ちひしがれて、無様で、惨めな気分になって、彼女の前で泣くんだ。
僕は空っぽなのだ。
彼女に差し出せるものなんて何もない。
彼女に見透かされれば僕は透明になって消えるだけだ。
僕が満たされないのは、僕のせいだ。
彼女のせいではないし、彼女を求めているわけじゃない。
僕は彼女が好きだ。
だけどそれだけだ。それがすべてだ。
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by mouthes | 2012-11-04 03:09 | words

02. 嘘


あの子に謝りたい。
美佐子。
本当は名前を呼ぶ資格さえない。だからあの時声をかけることもできなかった。
額に手を当て、一点を見つめて何かを考えるのはあの子の癖。
その癖がいつの間にか移るほど一緒にいた私たちの関係は、今はもうない。
なくなってしまった。
私たちは何の関係もない。
だから、私が彼女にすがることは許されない。

美佐子は繊細な女の子だった。
周囲もそれに気づいていた。
ただ、解釈の仕方はまちまちだった。
彼女はその繊細さで他者とたちまち感応し、その人の踏み込まれたくない場所を暴いてしまう。
だから、彼女の視線を怖れる人たちが多かった。
彼女にまっすぐ見つめられると、踏み込まれたくない、触れられたくない部分に導かれてしまう。
美佐子はそのことに十分自覚的だったので、あまり人をじっと見ることはしなかった。
どの人ともある程度距離を保って、聞かれたことに曖昧に相槌を打っていた。
そんな態度だから「そうだね」とか、「いいんじゃない」という言葉をよく口にしていた。
そしていつでも窓の外を見ていた。
黙っている時間が長くなり、何を考えているのだろうと思った時に、ちょうどよくつぶやく言葉は、いつもこうだ。
「とても眠いの」。
高校の教室は彼女にとって牢屋のように狭く、初夏のようにぬるく、砂嵐のテレビ画面のような興味のないざわめきで満ちていた。
私たちは、窮屈を共有していた。
自分の中に抱えているものが、私たちを引き合わせた。
早くこの場所から解放されたかった。
だけど何もしなかった。
ひたすら待っていた、新しい何かを。
何もかも吹き飛ばしてくれるような突風を。
途方に暮れてしまうようなとんでもない出来事を。
一滴で一瞬にして日常の色を変えてしまう魔法の薬を。
私たちは待っていた。
ただじっとしたまま。

「どこか遠くへ行こうよ」。
いつもの電車の中で美佐子はそうつぶやいた。
車内アナウンスに紛れてしまいそうな小さな声で。
このまま電車に乗り続けていれば、自分たちの知らない遠くの場所へ行けるはず。
お金なんかないけれど、改札も吹っ飛ばして、飛び出してしまおう。
学校へ続くこのレールの上から。
窮屈なあの場所から。
力のない毎日から。
私は一度だけ彼女の顔を見て、うつむいて、黙った。
頭の中では飛び出した後の現実のことばかり考えていた。
見知らぬ警官や、怒髪天を突くと言わんばかりの両親の顔、変わらない日常。
埋没していればかかわりのない面倒事がどんどん頭の中を埋め尽くしていく。
美佐子がこちらを見ているのがわかる。
じっと、私を見つめている。
「嘘だよ」。
もう一度私が彼女を観たときには、彼女はすでに前を向いていた。
いつも見ている、窓の外の退屈な景色を眺めていた。
とても眠そうに。
「え?」と聞き返したけれど、もう何も答えてはくれなかった。

それからなんとなく美佐子は学校を休むことが多くなり、
受験を目前に控えた年の9月に辞めてしまった。
私はその理由すら知らない。

私が美佐子にしてしまったことは、いや、何もしなかったことは、彼女を傷つけただろう。
だけど、あの時の自分にはそうすることしかできなかった。
それだけはよくわかっている。
私たちは出会うべくして出会ったように、別れるべくして別れたのだ。
わかっていても、後悔から逃れられない。
足もとの影のようについてくる。
私の足からのびる、美佐子の形の影。
光が当たるとはっきりとしてしまう。
彼女の存在は私の中でどんどん大きくなっていって、私自身の大きさをはるかに凌ぐ。
陽が沈むごとに伸びていく影を見て、そんなことばかり考えている。
窮屈と退屈の中で彼女のことを思い出す。
そしてそこから終ぞ抜け出ることのできなかった自分を。
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by mouthes | 2012-10-28 16:17 | words
久しぶりに何か書きたくなったので書きます。
お題はこちらからお借りしました。




 01. 告白
 02. 嘘
 03. 卒業
 04. 旅
 05. 学ぶ
 06. 電車
 07. ペット
 08. 癖
 09. おとな
 10. 食事
 11. 本
 12. 夢
 13. 女と女
 14. 手紙
 15. 信仰
 16. 遊び
 17. 初体験
 18. 仕事
 19. 化粧
 20. 怒り
 21. 神秘
 22. 噂
 23. 彼と彼女
 24. 悲しみ
 25. 生
 26. 死
 27. 芝居
 28. 体
 29. 感謝
 30. イベント
 31. やわらかさ
 32. 痛み
 33. 好き
 34. 今昔(いまむかし)
 35. 渇き
 36. 浪漫
 37. 季節
 38. 別れ
 39. 欲
 40. 贈り物
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by mouthes | 2012-10-28 03:17 | words

思い出とゴミ

ここにあるのは無数の思い出
光に煌めく 涙の輝き
あらゆる面影が脳裏をよぎり
記憶の彼方を引き寄せる


捨てるべきか 捨てざるべきか
生死の境をさまよう思いで
明日になれば 朝が来れば
あのマーチとともに燃やされる


もう顧みることはきっとないだろう
そう言い聞かせてみても腰は重い
無駄なものは何一つない
なんて言い切れる余裕が部屋にはない

ブッダの言葉を借りるとすれば
これは使用済みのイカダに過ぎず
もし私が消えてしまったら
意味をなさない 価値も生まれない


捨てるべきか 捨てざるべきか
あちらこちらを行き来する思い出
明日になれば 私が死ねば
あのマーチとともに燃やされる
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by mouthes | 2012-02-09 00:44 | words

In an instant

ほんとはライブ盤が素晴らしいんだけど。


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You spoke my language
And used no words I don't know
It's a long lost melody
A distant bird call
And so we walked along beneath the city street lights
And it was magic
And it was all right

An explosion of creation
Never ending inspiration
And I could write a million songs about this love
Yeah cause every minute that we spend
Is like a song to me

And it all comes so soon
And it all rings so true
And not a moment too soon
Now I'm falling I've fallen

You can't own it
And you can't see it
But you can feel it
And you can need it
And just like the bird which belongs to the sky above
Nothing that belongs to us
Because we belong to love

And it all comes so soon
And it all rings so true
And not a moment too soon
Now I'm falling I've fallen

In an instant it's forever
Scattered pieces come together
And you must tear down all the walls you built around you
Love is so great and now it's found you

And it all comes so soon
And it all rings so true
And not a moment too soon
Now I'm falling I've fallen




君は、僕の言語で話した
そして分からない言葉はひとつもなかった
それは長く失われていたメロディ
渡り鳥がさえずって
街灯の中、ベニスの街を僕らは歩く
それこそが魔法で、
それこそがすべてだった


想像力の爆発
止まらないインスピレーション
この愛について百万曲だって書けるよ
僕らが過ごしたどんな瞬間も
僕にとっては歌のようだから


もうすぐさ
すべてが正しかったとわかるよ
まったく長い道のりだった
僕は恋に落ちたんだ


所有することはできないし
見ることもできない
でも感じるだろう?
君が必要としてるもの
空が鳥を縛ることが出来ないように
何者も、僕らを縛れない
僕らは愛の虜だからね


もうすぐさ
すべてが正しかったとわかるよ
まったく長い道のりだった
僕は恋に落ちたんだ


簡単に言えば、それは永遠ってこと
千切れた破片を集めて
君はすべての壁を取り去らなくちゃならない
愛ってのはすごいね
やつは君をつけたんだ


もうすぐさ
すべてが正しかったとわかるよ
まったく長い道のりだった
僕は恋に落ちたんだ
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by mouthes | 2010-10-19 15:00 | words
すれ違う思いも、先の見えない不安も、無力な自分も、
いつだって過去になる。
ハッピーエンドのテーマが鳴り響く瞬間に、悲しみなんてないのさ。
いつだって仕切りなおせる。
それで十分さ。
だからソウルとかモータウンが好き。





IF I COULD BUILD MY WHOLE WORLD AROUND YOU
(Harvey Fuqua / Johnny Bristol / Vernon Bullock)
Marvin Gaye & Tammi Terrell - 1968


Marvin:
If I could build my whole world around you, darlin'
First I'd put heaven by your side
Pretty flowers would grow wherever you walk, honey
And over your head would be the bluest sky
And I'd take every drop of rain
And wash all your troubles away
I'd have the whole world built around you
And that would be all right, oh yes it would

Tammi:
If I could build my whole world around you
I'd make your eyes the morning sun
I'd put so much love where there is sorrow
I'd put joy where there's never been love
And I'd give my love to you
To keep for the rest of your life
And happiness would surely be ours
And that would be all right, oh yes it would

Both: Doo doo doo doo...

Marvin: Oh, if I could build my whole world around you
I'd give you the greatest gift any woman could possess
T: And I'd step into this world you've created
And give you true love and tenderness
And there'd be something new with every tomorrow
To make this world better as days go by

(repeat and fade):
Marvin: If I could build my whole world around you
Tammi: If I could build my whole world around you
Both: Then that would be all right, oh yeah





もし僕にできるなら、ダーリン
まず天国を君の隣において
君が歩く道は花で咲き乱れるのさ
そんで君が見上げるのはいつもとびきりの青空
降る雨のすべてで君の困難を洗い流し
世界は完成さ
これでばっちり、そうだろう?


もし私にできるなら
あなたの瞳を朝のお日様にするわ
悲しみのある場所はたっぷりの愛情で、
愛のない場所は喜びで満たすの
あなたには私の愛をあげる
あなたの日々に憩いを捧げるため
幸せは確かに私たちのもの
これでばっちり、そうでしょ?


もし僕にできるなら
どんな女性の持ち物より素晴らしいプレゼントをあげるよ
そしたら私はあなたの世界をおとずれて
あなたに真実の愛と真心を注ぐわ
新しい日々と新しい刺激に囲まれて、
世界は素晴らしくなり続ける


もし僕にできるなら
もし私にできるなら
すべてはばっちり、そうでしょ?
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by mouthes | 2010-10-19 14:41 | words