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皆殺し文学はやめだ

by mouthes

カテゴリ:Movies&Books( 60 )

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日常に戻っても何度も反芻してしまう映画、というのがたまにあって、『シング・ストリート』がまさにそれだ。
1週間のうちに何度も劇場に足を運んだ友人もいる。
映画をほめるとき、「ストーリーがいい」「役者がいい」「音楽がいい」「美術がいい」などいろいろな切り口があると思うけれど、
『シング・ストリート』をほめたいときは、そんなほめ言葉ではとても足りない。
人生で最も美しい瞬間を切り取ったような映画なのだ。
ある部分だけが良いわけではないし、足りない部分も含めて強い強い光を放つ映画だった。
「青春」という言葉が持つ、もう届かないきらめき、みずみずしい青臭さや、恥ずかしさ、幼さ、傷つきやすい柔さ、その柔い優しさ、そういうものが物語に丁寧に織り込まれていて、たまらないほど胸が痛かった。

どこが良かったという話をしようと思えばもういくらでもできるし、1回しか観ていないけどほんとにどのシーンも忘れられない。
話自体はかなりシンプルで、鬱屈とした世界から外に飛び出す、そのきっかけが女の子でありバンドだっていうある意味では「ありきたり」な話で。
でもありきたりだからこそ!この物語は!全世界で多くの人の心をかきむしるんだよ!


なにしろ私がたまらなかったのは細かい言葉のやり取り。
好きな者同士が些細な言葉で傷つけあってしまう瞬間を描く場面が、本当に素晴らしい。
コナーとブレンダンがぶつかる場面とか、ラスト近いコナーとラフィーナの公園でのやり取りとか。
今まで心が通じてたと思っていたけど、本当はお互いにまだ見せてない深さや浅さがあって、
「悪」や「悪意」は存在していないのに、相手を傷つけてしまう、すれ違ってしまうという。
よくあることなんだけど、本当に切ない。
それに、外の世界に出るときには、避けて通れない苦しさでもある。
それが反対に作用する場合ももちろんあって、
コナーとエイモンのやり取りはどれをとっても泣けるほどほほえましい。
「どうした?」「レコード聴こう」とか、「やりたい」「やろう」とか、「何してたの?」「うさぎにエサやってた」とか、
日常会話以下のやり取りでたしかに心が通じてる瞬間が詰まっている。
恋人同士が惹かれ合うように、ただの知り合いじゃなくて友達になっていく過程がとてもなめらかで自然で、これもこの映画の素晴らしさの一つ。
「特別な友達」も間違いなく運命の人だし、バンドやってたら尚更だよな。


コナーがやってるバンド自体もさ、別に「分かり合ってる」集団じゃなくて、
「一緒にいると何となく楽しい」とか、「利害の一致」とかその程度のかかわりなんだよね。
でもみんなで「バンドやっている瞬間」に味わった高揚とか、その時間を宝物のように思う気持ちは本当なんだよ。
この映画を絶賛する音楽家たちには、「言葉が詩になって、詩が歌として立ち上がる瞬間をとらえている」という言葉がみられるけれど、
音楽やってる人でなくても、その瞬間の感動とかときめきを感じることができる。
「相手がどういう人間か」とか、「何を考えているか」とか、そんなこと全然わからないけど、
同じものを大切にできることの貴さ、相手を大事にしたいと思う気持ちの清さが、あるんだよ。
その貴さにコナー自身のむき出しといってもいいほどの幼さが交じり合って、
・・・なんだろうなもう。狂おしい。
人生で初めて、一人の人間として手に入れる友達、勇気、恋心、そして向き合える家族。
それらに全身でぶつかって、正面から傷つくひたむきさは、自分の過去で、現在で、身近な子供たちの未来だ。
そして人生の挫折ときらめきの瞬間に鳴る音楽の素晴らしさ。

もーこの映画の良さと比べたら、私の賛辞など本当に空虚なものだよ。
もっと内容的なことが知りたい人は歌多丸さんの絶賛批評を読んでください。
もう一回観たいな。観た人と映画の良さについて話したいな。

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by mouthes | 2016-09-21 15:32 | Movies&Books
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四十九日のレシピ。


タナダユキの、最初に笑わせて掴みはオッケーな感じが好きだ!
女性で、性の風通しが良くて、人を笑わせようとする監督って、日本でタナダユキだけじゃないかな。

穴のあいた風船に、ふうふう頑張って息を入れ続けるがごとく、
ちぎれた心にぎゅうぎゅうと愛を込め続けるような切なさ。

どうでもいいところでぼろぼろ涙が出るのは、
登場人物の感情が、見せつけるのでも表現するのでもなく、ちっちゃなほころびからぼろっとこぼれて、
心の中に流れ込んできてしまうからだ。

コロッケパンを突き放した後に訪れた別れ。
思い切って大宴会をしようと言いだした良平さんの明るい声。
百合子が浮気相手を目の当たりにして何度も感じる屈辱、子どもに見せた笑顔。
若い日に乙美さんを追いかけた良平さん。
あとからあとから人がやってくる四十九日の大宴会。
イモちゃんに最後の檄を飛ばす良平さんの強く震えた声。

わかり合おうとするのではなく、寄り添うために擦り減るのでなく、
みんなの「君が好きだよ」っていう素朴な気持ちが交差して、また離れていく。
それに感化されて泣くわ泣くわ。
これ劇場で観なくてよかったなあ。


それにしても永作博美って、「八日目の蝉」もそうだったけど女の人の心の隙間を表現するとこの上ないよな。
俳優でいうと誰だろう。西島秀俊か。「さよならミドリちゃん」か。

心がしっかりした形をしていたときなんて、今まで一度だってない。
ぐにゃぐにゃしながら、がちがちになりながら、びちゃびちゃになりながら、からからになりながら、
あれー?こんな形だったっけ?って毎日が過ぎていく。
傷口が膿んで、それが喜びを生んだりして、うれしいんだかかなしいんだかわからなくて、
ほんの少しずつ言葉にしながら、心を分け合っていく。
正しいとか間違ってるなんてこと、とうの昔にどうでもいいことだ。



そーれにしてもタナダユキの映画も、エイドリアン・シェリーの映画もそうだけど、
男がショーもなさすぎるな!!!

昔は「男の人のダメな部分を愛す」視点みたいなこと考えてたけど、
ちょっとつまらなすぎるよなー!

乙美さんに十分愛を示せなかったことを悔いる良平さんも、
不妊と介護に誠意を尽くしてきた妻に貞節すら守れなかった夫も、
ほんとになんかこう、びっくりするわ。
うちの家族の男たちが皆よくしゃべる感情表現の得意な人間だからだけど。
当たり前じゃないんだなあ、思ってることを口に出すって。
自分の考え一つでどうとでもなったことをどうにもできなかった後悔って、さ、
ほんっとくだらねえ。つまらないし。関わり合いたくない。

でも、やっぱり人を愛するっていうことはさ、人のそういう部分すら愛するってことなのかもしれない。
乙美さんがしたように。百合子さんがしたように。



あー、良い映画だったな。
華美じゃなくて、感情に訴えかける熱量が低くて、器用じゃなくて。

平熱のままで、とても良い映画だった。
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by mouthes | 2014-06-24 01:06 | Movies&Books
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圧巻のトニー・ケイ。
「私に思想はない」という言葉がどれほど真実かはわからないけど、
この人の人間を見る目は、やさしい。

トニー・ケイの作品は、ほかに「アメリカン・ヒストリーX」という映画しか観たことがない。
あの映画もすごかった。



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”ネオナチのカリスマ”だった兄をもつ少年が、黒人の校長にある課題を出される。
それは自分の兄についてのレポートを書くこと。
タイトルは「アメリカン・ヒストリーX」。
人を殺して入った刑務所から出所した兄の変化を読み取ることで、
アメリカにある差別と暴力が見えてくる。


当たり前のようにある差別、搾取と排除。
自分の目線で相手を理解することの難しさ。
一人で生きているつもりが周囲に守られていて、守りたかったものを守れない苦しさ。

こんなに人の心をえぐるのに、この映画は誰にも感情移入していない。
すれ違うことや、傷つけてしまうことに理由はない。
みんなわけもわからず生きて、わけもわからず死んでいく。
もっと良くなりたいと、それだけを願って。



「デタッチメント」の深度は、「アメリカン・ヒストリーX」のさらに上を行く。
もっと良くなりたいと願っているのは、どんな生い立ちのどんな年齢の人でも変わらない。

主人公、ヘンリー(エイドリアン・ブロディ)は倒れかけた学校を再生するための臨時職員として雇われる。
彼が持つのは英語の授業だ。
生徒たちとぶつかるのではなく、なだめすかし、言い諭しながら、自分自身と向き合わせる。
爆発しそうな感情は、誰かにぶつけて解消するべきじゃない。
自分と向き合うことで、「今よりももっと良くなれる」、そう信じてる。

同僚とも、家族とも、生徒とも、深入りはしない。
深入りすれば傷つくし、傷つけられる。
何かを期待すれば、裏切られたときに相手を呪ってしまう。
愛そうとすれば憎んでしまう。
「今よりもっと良くなる」ためには、深入りせずにできることだけをすればいい。
期待も失望もしないやり方が、継続には必要だと信じている。

ヘンリーは、自分の感情を語らない、語ることができない。
彼がかろうじて語ることができるのは、仕事のことだけ。
そして仕事について語ることで、彼は自分自身の心の奥を見つめることになる。



この映画といい、「BIUTIFUL」といい、
言いたいことが言えないということは、なんて悲しいんだろう。
人を愛したいのに愛せないということは、なんてさびしいんだろう。
そんな中で心が触れ合うということは、こんなに暖かく輝いているんだろう。
血と、痛みと、悲しみが、やさしさを指し示す。







今日も、がんばれよって、言ってるよ。
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by mouthes | 2014-01-26 17:12 | Movies&Books

Lie lie Lie

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中原俊監督の映画は、「気の弱い人がよくしゃべる映画」だなあと思った。
『12人の優しい日本人』も『桜の薗』も。
そこには「話を聞いてくれる人」の存在があって、
「なんかこいつの前ではとりつくろえないんだよな」っていう気の緩みがある。

どの映画も、
人間の本質が暴かれたり、
強烈な個性が見せつけられるわけではないけれど、
人間たちが関わりあった時の化学反応がかっこよく描かれてる。
謙虚で饒舌、緻密にして大胆。
ほんと、こういう映画をもっと観たいよなあ。

たとえばインテリとか、サブカルとか、
今のご時世に用いられるとちょっとキナ臭い言葉がある。
だけど『Lie lie Lie』が撮られたころには、
こういう言葉ってもうちょっと気取ったいい言葉だったんじゃないかな。
人をカテゴライズしてこき下ろすのもいいけどさ、
そういうことすると面白さがダメになっちゃうんだよ。
自意識と自己愛と、それにまつわる嫉妬と嘲笑に耐えられない言葉だったのはしかたないけど。
ほんとは特権意識も自尊心もないのにね。

そういう煩悶に、この映画ははっきり答えを出してる。

「一番臭うのは文学ってやつですよ、先生。
 臭くて仕方ない。生きるための言い訳をダラダラと・・・人間が臭うんですよ」

インテリでサブカルでアウトローな魅力がたっぷりつまった、
自意識にとらわれない物語。
中島らも原作と知って納得だったな。
人間が強くてかっこいい。
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by mouthes | 2013-09-07 05:24 | Movies&Books

時計じかけのオレンジ

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マルコム・マグダウェル!

かっこいいー!

いやもう名作が過ぎてかっこいいなんて言うと寒いけどね!

でもかっこいい!

「Singing in the rain」を歌うシーンは即興だってね。
本当に魔法みたいだよなあ。
仕組まれてるとしか思えない。

ちょっと調べたら、原題の「A Clockwork Orange」の、
”A”はアレックス、”Clockwork”は無機的なもの、”Orange”は有機的なものなんだって。
向きで無慈悲な計算と、底からにじみ出るような有機的な色気が絡み合う。
なんでこんなことできるんだろう。


”悪いこと”が”悪ふざけ”で、
”暴力”は”超暴力”で、
深い意味はないのにすべてが伏線!

こんなことができる人間がいるんだよねえ。
見たことないけど、作品があるってことはいるんだよねえ。

ラーメンズや山田太一作品とはまた全然違う味わい。
積み重ねるっていう作業は同じなのに、どうしてみんな違うんだろう。
何かを積み重ねるってことはこんなにもセクシーなことなのかね。


ふぞろいの林檎たち見てて思うのは、
みんな、「関係が壊れない」前提のもとに、ぶつかったり、くっついたりしてるってこと。
人間の弱さは変わらないのに、私たちの世代には、関係が壊れない前提なんてないんじゃないかな。
みんな、壊さないように、それこそ薄氷を踏むように、なるだけ体重をかけないようにしてる。
それはさ、やっぱりつまんないことだよね。
わかったような気にもなるし。
ぐっと重たい、そういう面白さだってあるよ。
でも、薄氷も踏めるようになりたいな。
うん、つまんねえけど。
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by mouthes | 2013-07-28 01:34 | Movies&Books

SHAMEは弱さなの

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この映画は、私ではない人の弱さの物語。


ブランドンとシシーの関係は簡単じゃない。
なんでああなるのかなあ。
もっと違う方法で、大切にすることができるはずなのに。

人を愛そうとすると気が狂ってしまいそうになるなんて、
そんな悲しい病気はないでしょ。
死ぬことも生きることも怖いなんて、どうしてそんなに悲しいんだろう。

感情移入なんてしないし、同情もしない。
「このままでいいと思っているわけじゃない」「嫌悪してる、くだらないと思ってる」
だけどそこから一歩も出てこれないなら、それは自分から地獄を選んでるってことでしょう。
なんでそうなの。




見ながら、私は映画の何が好きで、こんなに映画を見ているのか考えた。
昔は、知らない物語にドキドキしていた。
映画は好奇心のすべてをぶつけいていいものだった。


映画を観なくなりはじめたのは、自分の生活が少しずつ色づき始めてからだ。
忙しくなって、
それ以上に楽しくなって、
映画を見るよりもドキドキする物語を過ごしていた。
当たり前だ。
3Dだってこの臨場感に敵うわけない。

映画でない世界にあった喜びや悲しみ。
苦しさやみじめさ。
それを上回る快楽。
そして答えられないような疑問。
救いようのない食い違い。

靴擦れの、マメの潰れた後の皮膚が固くなるように、
心にはかたい部分が増えたように思う。
そうでなければこの靴は二度と履けなくなる、それが怖くて、痛みを耐えた。



私は生きているだけだよ。
強いわけじゃない。
でもそれが誰かを打ちのめすなら、それもまた悲しいことだなあ。



映画には、
少なくともこの映画には、目の前に人がいるような苦しみがある。
いつか見たことのある感情が、ごろっと横たわってる。
気持ちのいい映画ではないけれど、強い感情が私に問いかけてくる。

目の前に現れた弱さに、私はまだ問いただすことしかできない。

なんでそうなの、どうして。
このままではまた同じことを繰り返しちゃうなあって、悲しくなった。
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by mouthes | 2013-07-19 18:12 | Movies&Books
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「ハンガー・ゲーム」観たー。
面白かった―。
かなり夢中になって観た。
観る前からそもそも勝つのは分かってる。
こういう映画で主人公死ぬと思って観る人ってほとんどいないよね?
注目すべきはどうやって勝つか。
それを作る側が徹底して意識してるのがわかったし、わかって観ててもアッパレだった。

テーマ、コンセプトが「バトル・ロワイアル」的な箱に詰められてるから、
どう比較しようか考えてる人が多いみたいだけど、
ああいう「社会風刺とヒューマンドラマ」みたいな箱とは作りも違うし、
「ソウ」みたいなゲーム性や残忍さもひかえめ。

どちらかと言えばファンタジー、ホラー、アイドル映画、
そういったたぐいだと思うね。


まさにスクリームのような!



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要はジェニファー・ローレンスだし、
「これぞ女子映画!」って感もある。
女の子は強いときが一番輝いてるよ。

ファンタジーほど「作り物」を意識しているものはないし、
ファンタジーに吹き込まれた命こそが真実を見せるんだよ。
ふだん取り立てて表情のない照れ屋な人が、時折見せるはにかみ笑いのように。(だまされ易いものでもあるが)

だからあの雑なティム・バートンのような虚飾に満ちたキャピタルの世界観も、
それに対を成す中世ヨーロッパ的ディストリクトの様子も、
わざと少し大げさに作られている。
「作り物ですよ」と言わんばかりに。
そしてあれを「作り物だ」と思って鑑賞するときに、ファンタジーは問いかけてくるのですよ。

「お前の世界とどう違うのか」と。

ありふれた貧富の差が、支配と被支配が、人を殺してでも生きたいという気持ちが、
目の前に突き付けられたらもうこのゲームに巻き込まれてるんですよ!

鑑賞者は主人公でありゲームの観客でありキャピタルの支配者となる、
つまりエンターテイメントとしてはこれ以上ないエキサイティングさ!
どきどきしました。
シリーズ化してどこまで展開していくのか楽しみです。
ゲットーで暴動が起きるにしても、ゲームで革命が起きるにしても、
イデオロギーとか突き詰めると陳腐でしらけたものになりかねないのでそうならないように祈ります。




そして誰しもカットニスのように戦えるわけではないけれど、
もう戦いを拒むことのできない世界に私たちもいるんだよ。
それは分かってる。
言われるまでもなく。
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by mouthes | 2013-05-03 15:48 | Movies&Books

最強のふたり

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このDVDジャケットの写真が、映画を観る前から「いいなあ」と思っていたけど、
観た後に見るとなおさらいい。

悲しい場面じゃなくて、笑顔になる場面でこそ涙が出る、たまらない映画だった。

必要な時に必要な人が現れる。それに気付くか気付けないかはわからないけれど。
フィリップは自分に必要な人間が解っていたし、
ドリスはいつだって求めているものが明確だから、
ふたりはかけがえのないパートナーになれたんだよね。
強い気持ちを持っている人同士の間では、
「相性」なんて都合のいい言葉ではなくて、
関係がそうならざるを得ない、不可抗力みたいなものが働くんだ。

踊るドリスの足元にカメラがふられて、
周りの人々が踊りだすのを見ながらフィリップは大笑いする。
楽しい気持ちも、うらやましい気持ちも、恋に対する昂揚と負い目も、
何もかも否定されるようなことじゃないんだよ。
白人と黒人、富豪と貧乏人、障碍者と健常者、老人と若者、
そういう差別やふたりの違いが、なくなるわけではなくて、
重要な問題ではなくなる、それよりも大事なものがはっきりとあらわれる。
それは丁寧なやり方でしか表現することはできないと私は思っているんだけど、
ドリスのキャラクターやそれを心地よく思うフィリップの受け答えで、
息苦しく思わせず、リズムに乗っている。
こういうのをエンターテイメントと言わずしてなんという!

ワクワクさせられたり、ドキドキさせられたり、笑わされたり、胸が締め付けられたり、
しみじみするんじゃなく、何気ないシーンに溢れる多幸感で笑いながら泣ける。
これはたまらないです。

この監督は人ったらしですよ!
最初から最後まで心を振り回されて、こんなに気持ちいいなんて、
とんでもないですよ!
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by mouthes | 2013-04-06 17:42 | Movies&Books
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久しぶりにウディ・アレンの映画観た。
評判にたがわずロマンチックでギャグも好きだった。
それにしても美人が本当に美人だなあ。
古谷実もそうだけど冗談のうまい人ってほんと、美人の美しいところを探すのが上手だよ。
マリオン・コティヤールの顔の造形もそうだけど表情ね!
うつくしかったー。


それにしてもギル!
ギルがイネズとパニック発作になりながらも結婚しようとする理由がよくわかる。
学生時代は高根の花だったような女の人がハリウッドの職業脚本家として成功したら相手してくれるんだもん、
ね、ちょっと話が合わないくらいなにさ、結婚した方が自分のために良いんだって気がしてくるよ。
うまくいかないに決まってる。
高嶺の花の定義間違ってるもん。
もともと欲しいものではなかったんだよ。
顔が美しいだけの人間なんてさ。
冗談も通じないしジュエリーの趣味もあわないような人は、別れてよかった。
自分に見栄を張るなんて一番みっともないよ。
一緒にいて楽しい人と一緒にいることがいちばんだもの。
自分が何をしているとき一番楽しいか、それくらいわかってる。


新しい生活を始めるのにふさわしい映画でした。
自分に見栄を張らずに、生きることを心にとめて。
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by mouthes | 2013-04-03 01:26 | Movies&Books

ナルニア国物語

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ものすごい面白かった。
今更すぎる。
劇場に観にいけばよかった。
3作とも全部観にいけばよかった。

C.S.ルイスの宗教観が強く反映されているこの物語、
原作は2度ほど読むのに挫けた。
だってなんかちょっとほんの少し、

説教くさいんだもん。

全然ドラマチックじゃないっていうか、話のテンポがあんまりオシャレじゃないっていうか、
そんな風に思って何となく苦手意識があったけど、
映画面白かったー。

あとファンタジー超大作はハリーポッターで懲りたっていうか、
秘密の部屋まで見たけどあんまりおもしろくないんでびっくりしたので、
もうあんまり期待しない方がいいのかなと思っていた。

みたいな言い訳は全然必要ないんだけど!

第1章は良くも悪くも前フリで、映像の力とナルニアのルール説明的な部分が多かったけど、
第2章と第3章で描かれる人間の葛藤と成長はファンタジーの本領発揮でしたね!!

ファンタジーが無用の長物だなんてとんでもないよ。
空想の中で知る痛みや苦しみや恐れが、現実の人間を成長させていくんだよ。
知識として知らないものは体験してもわからないことが多いからなあ。

最近聞いたミヒャエル・エンデの言葉でとても印象に残っている。

「メールヒェンのイメージ言語というのは全く直接的な言語であり、そもそもイメージのレベルで直接理解されるものなわけですが、研究者たちときたら、なんらかの概念に転換しない限り、それが理解出来ないなどと考えているのです。」

そうだよねえ、イメージの理解は感覚の理解と同じようにされるもんだよねえ。
何かの比喩や暗喩であるばかりじゃないよねえ。
はてしない物語のファルコンや憂いの沼は何かに置きかえられるものではないよねえ。
何かに似ていることはあっても。

第3章のルーシーのエピソードはすごく身に染みたなあ。

「私がいなくなっちゃったの」
「君がそれを望んだからだ」
「スーザンになってみたかっただけなの」
「君と共に大きなものが失われてしまう」

「君であることから逃げてはいけない。
 君の兄と姉はナルニアを知らなかった。
 君が私を見つけたのだから」




しかしユースチスみたいなやつを、物語の中ですら許せないあたしは成長していないなあ。
アンパンマンのカバオくんも嫌いだったし。
こういう人間を愛おしい、かわいいと思えてこその大人だよなあ。
はあ、ため息が出るね。
これもファンタジーの力ですよ。
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by mouthes | 2013-03-30 15:09 | Movies&Books