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皆殺し文学はやめだ

by mouthes

ノルウェイの森を観た

友達が、「原作を読んでいない人はいったいどういう感想を持つのか気になる」と言っていたので、
13:40の新宿バルト9に駆け込みで観に行った。
映画としては特に足りないとも何とも思わなかった。
ラブシーンに食傷気味になりはしたけど。
あといちいち戸惑う素振りを見せるワタナベにいらっとしたりはしたけど。
村上春樹的な空気はよく伝わるし、前評判で聞いてた「菊池凛子ってきつくない?」の意味もわかった。
そして私が村上春樹を好きになれない理由がはっきりわかった。




この人の作品を読んでいると、「そうじゃないんだよ」という言い方しかしない人とえんえん話しているような気分になるからだ。
核心を突くようなことは何も言わずに。
そして、そういうやり方でなければ表現できないことがあるような素振りを見せるから、
自分がただ単に幼くて粗野なのだというのを指摘されてる気がする。
それとはなしに。


そして、みんな賢いのに自分を持て余していて、
だけど精一杯傷つかないぎりぎりのところで生きようとしていて、
そのせいで話はややこしくなる。
心が傷付いて死んでしまう人なんて、そんなに多いものかな。
村上春樹自身もそういう人ではないだろうし。
私はまだ、傷付いたからといって死のうと思ったことはないし、そういうひとを目の当たりにしたこともない。
むしろ傷ついても傷つけても開き直れる強欲や傲慢さの方が問題で、わたしにとっては切実なことだ。
自分が傷ついても、人を傷つけても、自分や相手を知りたいと思ってしまう強欲が問題なんだ。

だから、目に見える行動や、様々な告白の他には、相手はおろか自分を知るすべもないことはよくわかってる。
行いや言葉でなかったら、ダメなんだ。
目に見えないものを目に見えないまま掴もうとするなんて、ムカつく。
そうだわ、腹立たしい。
だって話があべこべだもん。
ごまかしているように思う。
でも、「そうじゃない」って言うんでしょう?
好きじゃないわーまったく。
でもこの人はあたしが何言ったって傷付かないんだろうな。
そんであたしはどんどん自分が嫌いになるんだわ。

というのが21歳の私の感想です。
世界が狭いのは重々承知の上です。
成長したら別の姿が見えてくるのかな。
わかんないな、そればっかりは。
by mouthes | 2011-01-07 17:41 | Movies&Books