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皆殺し文学はやめだ

by mouthes

喜びと悲しみのオザケン

今日は、ぎりぎりまで勉強して21時頃に菊名を発って下北沢へ。
いちファンとして鈴茂さんに会いに!



実は、今日はあんまり期待せずに、二,三言でも言葉を交わせればいい方かななんて擦れた気持ちで向かったんだけど、最後の1時間くらいはおもいっきり話せて大いに満ち足りた!

「時間が経つのなんて本当にあっという間だよ。特に歳を取るとドストエフスキーやトルストイみたいな古典を読む時間なんてない。俺は大学生ぐらいのあの時間を全く無為に過ごしてしまった。」

「無為に過ごしたことで得たものって、何かありませんでしたか?」

「いや、若いうちから謹厳実直に勉強してたようなやつを羨ましいなって思う半面、お前には俺の過ごした無為な時間はわからないって思うことはあるけどね。だからマイナスばかりじゃなかったけど、相対的にみたらね、向こうの方が全然プラスだから。ああでもその無為な時間が、小説の中でも生きてるのかもね、知らないうちに。それを誇らしく思うみたいなこは全然ないけどね。バルザック読んどきゃよかったと思うよ」

「私、鈴茂さんのその無為な時間の、色合いというか、風味というか、すごく好きで憧れてるんですよ。私、なんでもないことをなんでもないように描けるのはマンガだけだと思ってたんですよ。映画では「なんでもないことをなんでもないように」は描けないですから。でも鈴茂さんの小説はそれが描かれてると思うんです。あの、『女たち』ではイズミが1番好きで、最後の「俺は世界の事を考えていると、世界の事を考えているのかイズミのことを考えているのかよくわからなくなる」って一節が最高に好きなんです。あれって無為な時間にすることだと思うんですよ。積み重ねられた時間じゃなくて、時間と時間の間みたいな、そんな瞬間にすることなんじゃないかと。そんで私、鈴茂さんの小説の中にあるそういう無為な時間にすごく憧れてるんですよね。」

伝えたかったことは伝えられたし、一先ず満足!
他にも「毎日ちょっとずつ失敗したなーって気持ちで過ごしてるけど、たまにスマッシュヒットなそこそこ上手く行ったなって日がありますよね」って話で意気投合して興奮したりした!嬉しい!
それにしてもやっぱりカッコよくてオシャレだったなー鈴茂さん。
また会いたいなー。


半分想定外にひでさんが来て、今日に限ってプレゼントを忘れて、でも会った瞬間固い握手をして、別れるときに固い握手をして、最近R&Bがすごい気持ちいいとかたまに観る映画の話とかしたい話はたくさんあったのに、あんまり話せなかったけど、やっぱりすごい嬉しくて、また会いたいなー。



CCCに入ったら兄がDJをしてて、オザケンの「恋しくて」をかけてた。
ほんに、今日という日に相応しい。
出会いと別れの喜びと悲しみ、そのすべてにまつわる光が、オザケンの歌の中で煌めく!
無為な時間はいつも、呼吸すら確かに意識できるから。





こんなに気持ちいい体験の話をしておいてこんな事を書くのは甚だ無粋かもしれないけど、
そういえば最近久しぶりに本当に腹の立つことがあった。
美学校角田に「喋るのやめてみたら」と言われたこと。
わかったようなこと思いついたからってなんの気負いもなく言いやがって。

すげーはらたつ。

あたしは物心ついたときから「話したくてしょうがない」衝動があった。そのことは認める。
もっと色んな言葉を、もっと色んな表現をと絶えず求めていたし、
自分の実感をいかにして正確に伝えるかに腐心してきた。
今現在、それには一定の手応えを感じているし、おしゃべりだけじゃ伝わらないこと、その限界も感じてきた。
だけど話すことをやめられないんだよ。
あたしはあたしをわかってほしいんだよ。言葉が届く限り全ての人に。
私の中の言葉と実感はいつでも密接で、
時に大袈裟に言うことで自分が感じたのと同じくらいの興奮をもたらそうとしたり、手早くわかりあうために安易な言葉や喋り方を選んだりするよ。
それが全部計算だなんてことはないけど、こっちはより素早く正確に会話で実感を分かち合うために、いつでも反応できるようにシャベリの筋肉鍛え続けてんだよ。
自分のことをわかりたいし、わかってほしいがために考え続けてんだよ。

後付け理論だの感情だの、そんなことの区別がお前につくのか。
あたしのことを「わからない」とすら自覚できない、その傲慢さを抱えたまま、あたしの魂に触れると思うなよ。
お前が「絵を描きたい」と思う気持ちよりもずっと切実にこっちは「わかってほしい」って思い続けてんだよ。
だから若いうちからぼんやりした絵を描いてるやつは信用ならねえ。
あーむかつく。
「言葉にならないこと」や「形にならないもの」がそう簡単に捉えられるはずねえんだよ、うちらみたいなぼんくらに。
実感はあるよ、いつだって。
だけど「言葉にならないことを感じる」って、そんな感性が果たして自分にあるのか、意識できるのか、そういう自問を捨ててるやつには絶対捉えられねえよ。
だからどれくらい自分の実感や力量、つまり自分が触れている世界に対して誠実になれるかが芸術家の勝負所なんじゃないのかよ。
あーあーむかつく。

寺山修司が「語らないことで多くを語る日を作ろう」って言ってたことが発端らしいけど、
あの人は言葉を操る天才だろうが。
天才の思いつきを大して語る努力もしないうちから真に受けても何の足しにもならないのに。


なんか、一日を残念にしてるのは、雨でも人身事故でもなくて、
必ず自分自身なんだから救いようがない。



ただ伊集院光のラジオがこんなあたしを慰める。
この人はあたしよりイライラしてる。しかも面白い。よかったー。
あたしもこんな風になれるかな。



Lantern Paradeの「ファンクたぬき」が欲しくて「とぎすまそう」をもう一枚買ってしまった。
いつかあたしのことをすごく好きな人にプレゼントしよう。



♪小沢健二「buddy/恋しくて」
by mouthes | 2009-06-30 02:08 | moments!